研究課題/領域番号 |
20K14277
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
入江 佑樹 東北大学, 数理科学連携研究センター, 講師 (10834020)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 組合せゲーム / 表現 / デザイン / 次数付き環 |
研究実績の概要 |
表現論と組合せゲーム理論の新たな展開を目指し、マヤゲームと対称群の表現周辺の研究を進めている。令和3年度の研究から、ゲーム、ブロックデザイン、次数付き環の間の関係が明らかになった。 令和3年度は、研究をさらに前進させるため、これまでに得られた研究を見直すことから開始した。マヤゲームと対称群の表現の関係で重要となった概念にp飽和というものがある。これはゲームを変形する操作であり、これまでの研究では、マヤゲームのp飽和を考えることにより、対称群の表現との関係が明らかになった。このp飽和の発見で鍵となったのは反転ニムというゲームの研究である。この反転ニム周辺について、得られていた結果を見直す過程で、ゲーム、ブロックデザイン、次数付き環の間には密接なつながりがあることが見出された。具体的には、ブロックデザインから構成したゲームによって、あるデザインの族を特徴づけることができ、さらに、この結果は次数付き環の言葉で表せることが明らかになった。この結果は、当初の研究の予定とは異なるものではあるが、組合せゲーム理論だけでなく、デザイン理論や可換環論に対しても、新たな展開を与え得るものである。現在は、得られたつながりのさらなる拡張を目指して、研究を進めており、成果がまとまり次第、学術論文としてまとめる予定でる。 なお、表現とゲームの研究については前年度に投稿したものが学術論文として出版され、ゲームとブロックデザインに関する結果の一部についても学術論文として出版された。 以上のように令和3年度の研究から、組合せゲーム理論に関する、(研究当初には思いもよらなかった)新たな知見を得ることができた。令和4年度はこの方向からの研究を進めるとともに、ゲームと表現の間の研究も継続し、両者の間の関係の拡張を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゲーム、ブロックデザイン、次数付き環の間の関係については、研究当初は思いもしなかった結果である。しかし、ゲームと表現の間についてはまだ著しい成果には至っていない。この原因は、マヤゲームと対称群の表現の研究で鍵となった部分の結果の拡張が難しい点にある。
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今後の研究の推進方策 |
上述のゲーム、ブロックデザイン、次数付き環の研究を進めていく。さらに、ゲームと表現の拡張を目指し、マヤゲームのと対称群の研究で鍵となった結果の拡張に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張ができなくなったため。物品費として使用する予定。
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