研究課題/領域番号 |
20K14353
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
八島 高将 成蹊大学, 理工学部, 助教 (50794864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グラフ理論 / 極値問題 / 因子 / 木 / 辺彩色 / 虹 / 応用数学 / 離散数学 |
研究実績の概要 |
本年度は,Tutte の因子定理の辺彩色版に関する研究を中心に行った結果,以下の研究成果が得られた. (1)辺着色されたグラフにおける辺彩色全域木のための隣接 2 頂点色次数和条件:Cheng らによって与えられた最小色次数条件を,隣接 2 頂点色次数和条件に緩和することに成功した.通常のグラフの研究では,最小次数条件(Dirac 型)を,非隣接 2 頂点次数和条件(Ore 型)に緩和することがよくなされるが,本研究により,辺着色グラフでは非隣接 2 頂点色次数和条件(Ore 型)に緩和することができないという,通常のグラフとの差を見出すことができた.ここで得られたいくつかの知見は一年目以降の研究の一つ,辺彩色次数因子のための簡明な十分条件の模索に役立つものであると考えている.また,本研究成果は Discrete Math. に掲載された. (2)通常のグラフにおける超過数を制限した全域木のための閉包定理(Bondy-Chvatal 型):通常のグラフでは,Bondy と Chvatal らによる,ハミルトン道の存在に関する閉包定理が知られている.また,ハミルトン道の一方向の拡張概念である全域 k-木(最大次数が k である全域木)の研究も多くなされており,これに関する閉包定理も知られている.本研究では,これらをさらに拡張した概念である超過数αの全域木のための閉包定理を完成した.本研究で得られた手法は,辺着色グラフでの研究にも応用できる可能性が高いと考えている.また,本研究成果はGraphs Comb.に掲載された. 以上が,一年目に得られた成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
辺着色されたグラフの研究について,国内外の共同研究者たちとの共同研究が進んでおり,複数の新しい成果が得られている最中である.このことから,「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
海外共同研究者とのオンライン打合せの際に見出した辺彩色因子の一方向の拡張概念について,計算量的な議論も開始したため,これについても深く調査する. また,当初予定していた辺彩色因子のための簡明な十分条件を引き続き模索するとともに,通常のグラフとの類似性および差異をさらに明らかにしていく. 対面での研究打合せ・研究交流を行いづらい状況ではあるが,より良い研究方法を探り,当初の計画通りに本研究を推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,コロナウィルスが原因で,予定していた研究出張が全くできなかったために次年度使用額が生じた.本年度に予定していた研究出張については,コロナ禍が落ち着いた後に再開する予定である.
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