金属ガラスの高密度化は多岐にわたる分野への用途拡大が期待される反面,アモルファスという構造の特殊性から実現が困難である.ガラス中の高密度領域という概念すらも明確になっていなかった.セリウム系金属ガラスのガラスマトリックス中に高密度セリウムガラス領域のような第二のガラス状態の存在を実験的に明確にしたことは意義がある.特筆すべきは,主要なガラス構成元素であるセリウムの純度を僅か0.13重量パーセント変化させただけで,高密度セリウムガラス状態が発現,あるいは消滅することが示されたことである.本研究成果は学術的独創性が高いだけでなく,高密度化を視野に入れた材料設計の観点からも有望である.
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