研究課題/領域番号 |
20K14372
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
Zhao Yong 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (20866230)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 金属ガラス / セリウム / 高密度ガラス / 陽電子 / 高密度ガラス状態 / 第一原理計算 |
研究開始時の研究の概要 |
セリウム系金属ガラスにおいて,ガラス構造を維持しながら質量密度を増加させた超高密度金属ガラスを開発する。そのために,細密充填結晶中の原子よりも収縮したセリウムから成るガラス凝集体を最大限導入する。原子サイズ収縮を誘起する構成原子の組み合わせと組成を第一原理計算により絞り込み,候補材料を作成する。作成した候補材料に対して,陽電子拡散データを用いて凝集体数密度を個別に定量する。最終的に,凝集体数密度が10 22 cm -3程度となる条件を探しだし,質量密度12 g/cm 3超の超高密度金属ガラスを開発する。
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研究成果の概要 |
本研究ではセリウム系金属ガラス中のガラスマトリックス中に分布する高密度領域に焦点を当てた.とりわけ金属ガラスに不純物を僅かに導入することによって発現あるいは消滅する高密度ガラス状態の起源を明らかにすることを目的とした.一連の陽電子消滅実験により,0.38%純度の低いセリウムを用いて作成された金属ガラスでは,高密度セリウムガラス状態が消滅し,ナノボイドが生成することが示された.このようなガラスマトリックスの不純物敏感性は,軌道の混成効果と化学的親和性によって説明された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
金属ガラスの高密度化は多岐にわたる分野への用途拡大が期待される反面,アモルファスという構造の特殊性から実現が困難である.ガラス中の高密度領域という概念すらも明確になっていなかった.セリウム系金属ガラスのガラスマトリックス中に高密度セリウムガラス領域のような第二のガラス状態の存在を実験的に明確にしたことは意義がある.特筆すべきは,主要なガラス構成元素であるセリウムの純度を僅か0.13重量パーセント変化させただけで,高密度セリウムガラス状態が発現,あるいは消滅することが示されたことである.本研究成果は学術的独創性が高いだけでなく,高密度化を視野に入れた材料設計の観点からも有望である.
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