研究課題/領域番号 |
20K14512
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤澤 幸太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (30732408)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハビタブルプラネット / 系外惑星 / 低温度星 / 回転星 / 磁場 / 自転進化 / 地球外生命体 / M型星 |
研究実績の概要 |
本研究では、低温度星の周囲に存在しているハビタブルプラネットが、主星である低温度星からのウインドやフレアなどの活動性によって、どのようにそのハビタビリティが乱されているかを評価することを最終的な目的とする。その際に、主星である低温度星の自転進化に特に着目する。太陽などの太陽型星とは異なり、低温度星の自転進化は十分にスピンダウンする種族とほとんどスピンダウンしない2つの種族に分かれるとされている。そこでまずは低温度星の回転・磁場構造の多次元モデルを構築し、内部構造を考慮した回転進化モデルで2つの種族を説明することを目指す。次に、この2つの種族の回転進化に基づいて、自転が速い種族と自転が遅い種族で、それぞれハビタブルプラネットに対してどのような影響が現れるかを考慮して、低温度星周囲のハビタビティに関する議論を展開していく。 初年度である本年度は、多次元回転進化モデルの基本となる、低温度星の多次元構造計算のための定式化を行った。またそのため必要な数値計算コード開発なども行った。その結果、これまでの先行研究の多くが用いていたバロトロピックの仮定を外し、より一般的であるバロクリニックの条件の元での定式化を行うことに成功した。さらにこの定式化に基づいて、具体的な星の多次元モデルのテスト計算を行うことにも成功した。さらにこれらの多次元モデルとともに、最近発表された低温度星のフレアや電波放射などの新しい観測結果を取り入れながら、低温度星の2つの種族に関する自転進化モデルの研究にまで取り組みつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、当初の予定であった回転と磁場を伴った多次元モデルの定式化と、そのテスト計算を行った。また、またそのための数値計算コードの開発も行い、実際の計算を行うことにも成功した。研究の自体は概ね当初の予定通り研究は遂行している。一方で、ここまでの結果をまとめて研究会や学会で発表したり、論文にまとめ発表するなどはきなかったため、本研究課題の進捗状況としては、やや遅れているとした。来年度以降は、ここまでの研究成果をまとめ学会や研究会などでの研究発表を行っていくとともに、学術論文として出版していくことも目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の途中で、地球から最も近い低温度星であるプロキシマ・ケンタウリからのフレアや電波放射などの新しい観測結果が相次いで発表された。特に研究構想段階では想定していなかったような状況を示唆する観測結果もあり、これらの新しい観測結果を考慮した自転進化モデルとそのハビタビリティの議論ができそうであることが最近分かってきた。そこで当初の研究予定に加えて、これらの新しい観測結果も取り入れた自転進化モデルの構築と、そのハビタビリティの議論も今後は行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は出張を伴う国内外の研究会に参加することができず、また対面での研究打ち合わせを行うことも難しかった。さらに大学での研究活動にも一部制限があった。そのため、旅費などを使用していくことができず、次年度使用額が生じた。今後このような状況が改善していけば、本年度や次年度以降の研究成果の発表のための旅費などに使用していく予定である。
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