古い年代に建設された建築物では,経年劣化が問題となることがある。様々な劣化現象の中でも,RC造建築物の構造性能に特に大きな影響を与えるのは,鉄筋の腐食である。鉄筋腐食を生じると,一般に,強度や変形能力が損なわれる。こうした現象を評価することは,例えば戦後建設された著名な建築物の保存や,海沿いの劣化した建築物の安全性評価に有用であるが,これまでは鉄筋腐食建築物の強度評価に関する研究が多く,変形能力はほぼ手つかずの状態であった。本研究は,その点をカバーし,よりよいインフラ,建築物の保全と活用につなげるものである。
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