研究課題/領域番号 |
20K15022
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐々木 拓也 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70815787)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高圧合成 / 窒化物 / 蛍光体 |
研究実績の概要 |
窒化物を母体材料とした窒化物系蛍光体は高輝度かつ温度消光の少ない優れた蛍光体である.本研究では,超高圧合成法による新奇窒化物の合成と窒化物系蛍光体の創製を目指している.今年度は,新規窒化物高圧相の探索のためCa3N2-Si3N4-AlN系やCa3N2-Si3N4系などの物質群における高圧合成実験を行った.様々な組成,温度および圧力条件で合成実験を行ったところ,Ca3N2:Si3N4が5:2の原料組成において,常圧相(α型Ca5Si2N6およびβ型Ca5Si2N6)とは異なる新規窒化物相の生成が確認された.放射光粉末X線回折測定から,この新規窒化物相は結晶相ではなく,アモルファスであることが明らかとなった.窒化物のアモルファス相の合成例は僅少であり,Ca3N2-Si3N4系においては初めての発見である.また,希土類元素Euを賦活した新規窒化物相は近紫外線照射下で黄色発光を示した.蛍光スペクトルはブロードな発光を示していることから,2価のEuに由来する発光だと推察される.アモルファス相の結晶学的な解析は粉末X線回折測定では困難であることから,X線吸収微細構造(XAFS)測定を行い,賦活剤であるEuに加えて,母体材料であるCaおよびSiの局所構造の解析を進めている.酸化物アモルファス(ガラス)相を母体材料とした蛍光体は多数報告されているが,窒化物アモルファス相を母体材料とした蛍光体は本研究によって初めて見いだされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,ギガパスカル高圧力下における窒化物蛍光体の合成手法および条件を確立するとともに,新規窒化物相の探索を目標に研究を行った.窒化物蛍光体の合成に必要な条件はおおよそ確立することができ,Ca3N2-Si3N4系において新規窒化物アモルファス相の合成にも成功した.また,Eu賦活によって新規窒化物アモルファス相が蛍光体の母体材料になり得ることを見出し,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度合成に成功した窒化物アモルファス相におけるCa,SiおよびEuの局所構造を明らかにするために,X線吸収微細構造(XAFS)測定と解析を進めるとともに,Caサイトなどへの元素置換を行い,発光特性の向上に務める.また,本窒化物アモルファス相の合成条件を調査することで,高圧下における窒化物アモルファス相の生成メカニズムの解明に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,出席予定であった学会がオンライン開催となり,旅費の支出がなくなったため.次年度使用額分は次年度分と合わせて,物品費として研究を進めるために必要な器具および化学試薬等の購入に使用する予定である.
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