光コムは主にモード同期レーザーの出力として得られ、周波数領域ではレーザーの共振器長で決まる繰り返し周波数frepの間隔で発振モードが並ぶコム状スペクトルになっている。光コムは各発振モードの周波数が精密に分かることや、スペクトルの広帯域特性のため分光実験によく利用される。光コムを分光光源として使用する従来の分光計では、主に光コムの周波数特性を利用している。本研究では、光コムの時間領域での出力が繰り返し周期が一定のパルス列であることに着目し、高い周波数分解能と広帯域特性を有する新規フーリエ分光手法を提案し、検証することを目指す。昨年度までに原理検証用に用いる光コムを偏波保持ファイバーを用いて波長1.5μm帯で開発し、また、腕の長さが約2mのプシュ・プル方式のマイケルソン干渉計を構築した。さらに、開発する分光計の光源となる繰り返し周波数が高い光コムを電気光学変調器で発生させて、開発したデータ取得プログラムでfrepと同期させながらデータ取得できることを確認した。今年度は分光計の周波数の基準信号を開発した。基準信号は光コムのモード番号決定に必要であり、本研究ではCWレーザー周波数をヨウ素分子の吸収線に安定化することで実現した。波長532nm付近で変調移行分光法と飽和吸収分光法を組み合わせて観測したヨウ素分子の吸収線にCWレーザーの周波数を安定化した。CWレーザーの周波数安定度をRb時計にリンクした周波数カウンタで測定したところ、相対安定度10-11が得られ、モード番号決定に十分高い安定度が得られた。
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