研究課題
若手研究
本研究ではハイドロゲルマトリクス中に色素及び電子受容体を配置した人工的な電子輸送系を構築し,色素と電子受容体の間の連続的な光誘起電子移動を利用したミリメートルオーダーでの光電子輸送を達成することを目的とした.研究期間の全体を通じて,ベースとなる電子貯蔵ゲルの作成,ベースゲルへの位置選択的な分子修飾手法の開発,電子輸送高分子を用いた水素発生触媒反応,という3つのコア技術に関する検討が達成された.
光化学
近年のエネルギー問題を背景に,太陽光のエネルギーを用いて有用な化学エネルギー源を合成する“人工光合成”に関する研究が広く行われている.本課題で開発した電子輸送ハイドロゲルによって,人工光合成反応で用いられる分子性触媒に広く応用可能な反応プラットホームのコンセプトが示された.本研究の推進によって,電子貯蔵能・光補修能・触媒機能といった,人工光合成反応に必須である各種要素をハイドロゲルマトリックス内に配置する方法論が確立されており,その波及効果・学術的価値は極めて高いと確信する.