硫化水素の施与によって亜熱帯果樹のパッションフルーツとアボカドの低温ストレス下での光合成速度が15-30%程度促進されることが明らかになった.一方で,熱帯果樹のカカオでは光合成促進効果はなかった.それぞれの作物にとって軽微な低温ストレスであれば,光合成が促進されるが,重度のストレス下では光合成は促進されないと考えられた.またパッションフルーツでは,光合成促進は果実品質の向上にはつながらなかった.さらに,葉の損傷の指標であるFv/Fmなどには硫化水素の影響はなかった.すなわち,葉の損傷や植物体の枯死を抑制する効果はなかった.
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