樹幹流には懸濁態よりも溶存態の形態の放射性セシウムが多く存在し、樹幹流の多いコナラでは、樹幹流の流れ込む位置において、土壌中の溶存態と交換態の放射性セシウム量が多い傾向が見られた。また、土壌中の溶存態の放射性セシウムの鉛直分布は一定であったが、交換態の放射性セシウムは土壌表層で多く、土壌表層には樹幹流以外の要因によっても放射性セシウムが供給されてきたと推測された。さらに、コナラは土壌表層から放射性セシウムを吸収していると推定されたため、樹木の放射性セシウム吸収には、樹幹流による放射性セシウムの土壌供給だけが影響している訳ではないことが明らかになった。
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