本研究では,牛乳のサプライチェーンゲームを開発し,それを用いた被験者実験とシミュレーション実験を行い,食の商習慣(1/3ルール,1/2ルール)の違いによるプレイヤーの意思決定と廃棄への影響を検討した.被験者実験では,メーカー,小売業,それぞれに期限を設定しても,それらの期限に基づいて販売価格を調整しやすくなるため,廃棄への影響は小さかった.一方,シミュレーション実験では,ゲーム理論に基づく分析によって,1/3ルールを課すことが,廃棄を生みやすい後入れ先出しの均衡を消す場合があることが示された.さらに,1/2ルールではサプライチェーンの利害関係者の利益を損なうことなく廃棄を削減できた.
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