本研究の目的は,農業という人間活動によって造成される「ため池」が二酸化炭素吸収源,メタン放出源として温室効果ガス収支に果たす役割を解明することである.メタンは重要な温室効果ガスであり,内陸の水圏は主要なメタン放出源として認識されているが,その放出量の推定には未だ不確実性が大きい.内陸水圏からのメタン放出を削減するには,実測データに基づくメタン放出量の定量化と変動メカニズムの理解が必要である.本研究はため池生態系に着目し,2年の実測データを取得した.得られた知見は,ため池が温室効果ガス収支に果たす役割の理解に役立ち,放出量削減に向けたため池の管理に貢献すると考える.
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