本研究は,発育初期にリポポリサッカライド (LPS) の曝露を受けた卵胞の発育動態とステロイドホルモン産生能を検証するとともに,発育途上卵胞に内包される卵母細胞の発生能におよぼすLPSの影響を明らかにすることを目的とした。ウシ初期胞状卵胞はLPSを受容する機構を持ち,体外発育培養における発育途上期のLPS曝露はエストラジオール産生を抑制した。また,LPSは卵母細胞の生存性を低下させたとともに,成熟能を不可逆的に低下させる可能性を明らかにした。さらに,子宮の炎症を示すウシ子宮内膜炎モデルを作出し,脳と卵巣のインタラクションにおけるLPSの即時的作用と長期的作用を精査することが可能となった。
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