本研究は、黒毛和種繁殖メス牛(母牛)への酪酸ナトリウム(SB)給与が血液・乳成分、並びに出生した仔牛の発育・栄養代謝機能に及ぼす影響を検討し、以下の知見を得た。1)母牛へのSB給与はグルコースおよびGLP-1の血漿濃度を増加させたが、乳構成成分には影響しなかった。2)SBを給与した母牛から出生した仔牛では、新生時の血漿グルコース濃度が高値であった。3)さらに、SBを給与した母牛から出生した仔牛では、新生時および哺乳期における血漿インスリン様成長因子1濃度が高く推移した。 以上のことから、母牛への酪酸製剤の給与は、仔牛の糖代謝やIGF-1濃度を変化させ、発育・健全性に影響する可能性が示された。
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