研究課題
若手研究
被子植物の有性生殖の達成には、花粉管の細胞自律的な「伸長」と雌のシグナル分子への「誘引(伸長方向の制御)」の調節が必要ある。本研究では、低分子量GTPaseタンパク質ROPのシグナル伝達に着目し、花粉管の伸長・誘引が統合的に調節される分子機構の解明を目指した。ROP活性化因子であるROPGEFsの局在解析や多重遺伝子破壊株の表現型解析を行い、複数のROPGEFが花粉管の各挙動およびステージごとに使い分けられることが、連続的な花粉管の伸長・誘引に重要であることを明らかにした。
植物分子生理学
花粉管の伸長・誘引は、被子植物が有性生殖を成功させ、種子や果実を実らせるために必須である。本研究では、この過程の制御に関わる因子を発見し、作動メカニズムを理解した。また、花粉管の先端成長の様式は、動植物を通じて広く見られる仕組みであり、細胞の挙動調節の共通性の理解にも寄与した。本研究の成果は、被子植物の生殖の仕組みの一端を明らかにしただけでなく、将来的に種子・果実の生産性を操作する技術の開発にも繋がると期待される。