長きに渡って研究されてきた花粉管であるが、未だその能力には謎が多い。特に本研究が着目する精細胞輸送に関しては、栄養核に牽引されるという固定概念からか、関連研究はこれまでほぼ見られなかった。このように本研究成果は花粉管の秘められた能力を世界に先駆けて明らかにするものであった。また本研究成果で明らかになった現象は、多くの植物が共通に持つメカニズムである可能性が高い。なぜなら、種子植物は花粉管を用いて雌性配偶体に精細胞を送り届けることで果実を実らせるからである。今後も精細胞が雌性配偶体まで辿り着く分子メカニズムが明らかになっていくことで、農作物への応用展開の可能性も期待される。
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