らせん卵割型発生における割球運命の保存をもたらす分子機構の解明を目指し、軟体、環形、扁形動物のトランスクリプトーム解析と、初期発生で発現する転写因子の機能解析を行なった。軟体・環形動物間では、卵割期にzygoticに発現する転写因子のレパートリーと発現パターンの保存性は高くなかった。また、扁形動物の卵割期に特定の割球に偏って発現する転写因子の中に、他動物門と共通するものは見出せなかった。更に、軟体動物で割球運命特異化に寄与する転写因子を新規に同定したが、それらの存在/発現も3動物門間で必ずしも共通していなかった。以上のことは割球運命特異化機構がらせん卵割動物内でも多様化していることを暗示する。
|