地球上で多様性の卓越する被子植物(開花植物)の大きな特徴は、花を咲かせて花間で花粉のやりとりをするという他家受粉に加えて、(A)胚嚢(つまり母)由来の2つの細胞が2つの花粉由来細胞と融合する重複受精、(B)三倍体の胚乳に見られる、母体からの資源獲得をめぐるゲノム刷り込みにある。これらの特徴は、種子植物のうち実に90%を占める被子植物の多様性を生み出した原動力である可能性がある。その進化・維持機構を理解することは、植物全般の多様性を理解すること、そして園芸・農作物の栽培効率の向上に貢献する。本研究では、血縁選択理論に基づき、植物の繁殖生態学における謎のひとつである、胚乳の進化条件を検討した。
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