研究課題
若手研究
ホウ素クラスターであるカルボランの創薬ツールとしての実用性を検証するために、細胞膜透過性、代謝安定性試験を実施した。カルボラン誘導体が既存医薬品と遜色ない細胞膜透過性と安定性を有することを見出した。薬物代謝トランスポータ-であるP-gpに対しては親和性は有さず、阻害活性のみ示すことが明らかとなった。また、2種の乳癌細胞の増殖を抑制し、新たな活性メカニズムを持つと予測されるカルボラン誘導体を開発した。
薬化学
カルボランは長らく創薬基礎研究において医薬化合物の疎水性中心骨格としての利用が検討されてきたものの、実際の医薬品開発で利用される段階には至っていなかった。カルボランを医薬品構成要素として利用することは、ケミカルライブラリーの拡大に貢献し、低分子創薬を活性化することに繋がる。カルボラン誘導体の薬物動態学的特性を調査し、既存の医薬品と遜色ない性質を持つことを確認したことは、カルボランの創薬ツールとしての実用化推進に繋がる。