抗体は抗原認識を契機としてエフェクター機能を発動し、免疫システムにおいて異物の排除を司る糖タンパク質である。抗体に結合した糖鎖はエフェクター機能と密接に結びついており、その構造多様性は優に100通りを越える。抗体の糖鎖はタンパク質部分と渾然一体となった分子内ネットワークを形成しており、糖鎖構造の僅かな変化が分子内ネットワークに影響を与えることで予期せぬ遠位の部位に構造変化を引き起こし、エフェクター機能を変調するものと考えられる。本研究では、実験と理論の統合により、体分子内に張り巡らされた糖鎖とタンパク質が織りなす“アロステリックネットワーク”を探査し、その動態と機能の関連を浮き彫りにした。
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