研究課題
若手研究
リゾリン脂質は脂肪酸鎖を1本のみ有するリン脂質であり、受容体を介して様々な生理活性を引き起こす新世代の脂質メディエーターである。本研究課題では多種のリゾリン脂質受容体が免疫組織においても高く発現することに着目して、その「使い分け」に主眼を置いて解析を行った。本課題の成果として、同一のリゾリン脂質に対して応答する受容体でも、受容体の種類によって免疫応答のアウトプットが異なる興味深い現象を明らかにした。
脂質生物学
本研究成果は、同一のリゾリン脂質をリガンドとするにも関わらず、受容体によって免疫応答制御の方向性が異なる、興味深い「使い分け」の存在を明らかにした。例えば免疫過剰を伴う自己免疫疾患においては負に、また、抗腫瘍免疫や感染症免疫においては正方向に免疫反応を調節するGPCR分子には魅力的な標的としてのポテンシャルがある。本成果をベースとして、今後は種々の免疫関連疾患におけるリゾリン脂質シグナルの創薬標的としての可能性を探索していく。