研究課題
若手研究
本研究では、Muc2糖鎖硫酸化修飾の腸炎における役割を明らかにするために、GlcNAc6ST-2ノックアウトマウスに腸炎モデルを適用した。Muc2ムチン糖鎖の硫酸化修飾はムチン層の機能維持に必須であり、バリア機能を強化することで腸炎を抑制していることが明らかとなった。さらに、GlcNAc6ST-2欠損マウスでは大きく腸内細菌叢が変化することから、ムチン糖鎖の硫酸化は腸内細菌叢維持に必須の翻訳後修飾であることも初めて示された。
糖鎖生物学
本研究は、これまでのMuc2ノックアウトマウスやMuc2糖鎖のノックアウトマウスを用いた研究とは異なり、Muc2糖鎖の硫酸化に着目し、糖鎖全体ではなく特徴的な糖鎖構造、すなわち硫酸化修飾が腸炎病態を制御するという新しい知見を提供した点に学術的意義がある。本研究の成果により、「腸管上皮細胞のバリア機能」および「腸内細菌叢の制御」において硫酸化糖鎖が担う基礎的な知見が得られたことから、将来的には本研究の知見に基づく糖鎖を用いた炎症性腸疾患の治療法への発展が期待される。