研究課題
若手研究
全身投与したOCT-2基質薬物の内耳内における薬物分布を質量分析イメージング(Mass Spectrometry Imaging; MSI)技術により可視化することを目的として本研究を遂行した。蝸牛は骨組織に囲まれた器官であるため、そのままの条件ではMSIを適用できなかった。しかし、テープ材を用いた切片作成方法を用いることで、メトホルミン投与後、マウス蝸牛組織切片中の各部位におけるメトホルミン由来のシグナルを検出することができた。
薬理学
全身投与された薬物は、内耳蝸牛内の難聴治療標的細胞への分布過程を経て応答性を得ることができる。しかしながら、この標的細胞への分布に及ぼす薬物輸送体の寄与については未解明なままである。本研究の遂行により、全身投与後のメトホルミンの時間経過に伴う内耳内分布をMSIを用いて可視化することができた。メトホルミン以外にも質量分析が可能な薬物であれば、本法を適用可能であり、有効な治療候補薬の薬物動態の詳細を可視化・定量化することを可能とし、それら薬物の適切な投与設計への貢献が期待される。