本研究では,粘膜透過性を促進可能なイオン液体を血液脳関門非透過性薬物であるエトドラクや水溶性中分子のイヌリンに適用し,鼻から脳への直接経路の存在する鼻腔内に経鼻投与したところ,各化合物の嗅球,脳および血中への移行性が増加することを明らかにしたことで,脳標的経鼻投与製剤の設計において,イオン液体は有用な製剤材料であることが示唆された. また,イオン液体自身は粘稠であり汎用経鼻デバイスによる噴霧が困難なため,吸収剤の多孔性シリカにイオン液体を高温条件下で撹拌混合することで封入することにより,優れた流動性を示し汎用経鼻投与デバイスで噴霧が可能なイオン液体含有粉末経鼻投与製剤の設計が可能であった.
|