本研究は、新規転写抑制因子teashirt homolog 2 (以下TSHZ2)の乳癌での機能解析および臨床的意義の解明、病理診断への活用を目的として進めてきた。本研究で樹立した正常乳腺上皮細胞株のTSHZ2遺伝子ノックアウト細胞株には、間葉系細胞様への形態変化がみられた。この背景にある分子機構を解析する中で、TSHZ2の複数のアイソフォームの発現パターンが正常と癌で異なり、それが上皮間葉転換を始めとした悪性形質に関係している可能性が明らかになった。今後はこの発現パターンと臨床病理学的特徴との関連解析を行い、乳癌のサロゲートマーカーとしての応用を目指す。
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