本研究の目的はCisplatin投与後の食道癌中の銅の分布分析を行うことで銅関連輸送体に関連した化学療法抵抗性獲得の機序を解明することである。まずどの細胞が主に銅輸送体関連遺伝子 (CTR1/2)を発現しているかを評価するため、シングルセルデータを用いて網羅的解析を行ったところ、術前化学療法を施行した食道癌サンプル6例において、線維芽細胞などの間質細胞よりマクロファージでCTR1/2が高発現しており、術前化学療法奏効率においてPD群とSD/PR群で比較したところ、PD群のマクロファージのCTR2の発現が低い傾向がみられた。以上によりマクロファージが治療抵抗性に関係している可能性が示唆された。
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