モデル薬物として用いたドキソルビシン(Dox)をプロドラッグ化したものは、がん細胞内相当のGSH濃度環境で活性化され、生細胞内でも活性化が確認された。このプロドラッグはDNAとの相互作用がDoxよりも低く、がん細胞内で細胞障害性を示すことも確認された。HAは細胞実験より、CD44を介して取り込まれることが確認され、一方で、HAの短い生体内半減基はHAへのポリエチレングリコール化により延長できた。これらの成果を統合して、完成されたシステムを現在構築段階だが、個々の実験結果は、システムを構築するための材料を作成していく上で極めて重要な知見であり、今後の研究においてその発展に寄与するものと確信する。
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