研究課題
(研究成果の具体的内容)1.深部核上電極を含む頭蓋内電極を用いた脳波リズム有向ネットワーク解析:脳腫瘍に対する脳神経外科的手術において臨床的必要性から脳室が解放され、脳室内電極留置が可能であった症例を対象とした。脳室内視床上電極、および錐体路神経線維の温存評価目的で留置された中心溝周囲の硬膜外電極を用いて、単発電気刺激による視床-皮質誘発活動(thalamo-cortical evoked activity)/皮質-皮質誘発活動(cortico-cortical evoked activity)を複数例で記録した。これらの反応を時間周波数解析も用いながら詳細に解析し、それぞれの脳内ネットワークの電気生理学的差異を検討中である。2. 脳波リズムの自発的制御によるてんかん性活動・発作抑制:硬膜下電極留置を行った複数例で、手指運動や足の運動に関わる運動関連脳電位(MRCP)を記録された症例を対象にした。運動の種類や同側/対側の違いにより、中心溝周囲に存在する発作関連の間欠期てんかん性放電の出現頻度が変化することを見出すとともに、この成果について学会発表した。(意義・重要性)上記の二つの研究ともにデータの蓄積は進んでいるものの、何らかの科学的知見を得るには未だ不十分である。しかし、再現性のある所見が確認できており、今後更なるデータ取得・解析により、脳律動のネットワーク、てんかん原性とのかかわりについて、これまでにない方法での視床への治療介入、また、薬剤を使用しないてんかん治療を見据えた知見が得られることが期待される。
2: おおむね順調に進展している
・COVID-19影響下において手術症例の減少があり、新規のデータ取得・解析が少なくなっているが、すでに取得したデータに関しては着々と手法の改善をしつつ解析を進めることができている。・コロナ対策の影響を受け、脳波の自発的制御によるてんかん性活動・発作抑制研究は後方視的解析にとどまることになった。したがって、脳波リズムを制御できる課題を見出すために患者のリクルートを開始して研究的脳波記録目的で来院してもらうことは困難になった。
・本研究への自身のエフォートをより割くことにより、自施設でのデータ取得を継続するとともに、他施設からのデータ供与と解析の可能性を模索する。脳波の自発的制御によるてんかん性活動・発作抑制の研究に関しては、後方視的解析に特に注力する。
・コロナ対策の影響で予定していた海外への出張がなくなり、また研究に必要な機器の購入がなくなったため。次年度はさらに規制緩和が予想され、他分野との交流のためにも学会に参加して今後の共同研究のために研究者との交流を含めた基盤作りを積極的に行う。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
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