研究課題
(研究成果の具体的内容)① 深部核上電極を含む頭蓋内電極を用い脳波リズム有向ネットワーク解析: 脳外科的手術で臨床的必要性から皮質・白質切除に至り、脳室が解放され脳室内深部核上電極が留置された症例で、安静時の脳波記録、体性感覚誘発電位の記録、皮質・視床上それぞれの電極からの単発電気刺激による誘発活動反応(CCSR/TCSR)の記録を継続して行った。本年度までに記録できた5例以上においてCCSR、TCSRの電気生理学的特徴の違いについて独自に開発した解析プログラムを用いて調べ、誘発される活動の周波数帯域の分布が異なることを見出し、論文執筆を開始した。さらに、国内の神経生理学に関する学会で、本研究に関連した内容に関して招待講演を行った。② 脳波リズムの自発的制御によるてんかん性活動・発作抑制: 手指運動や足の運動に関わる対側運動関連脳電位(MRCP)を記録された硬膜下電極留置複数例のデータ解析により、てんかん性放電が多く、かつ、運動に関連した活動がみられる電極においては、運動中前後でてんかん性放電が減少することを確認した。これにより、てんかん発作にかかわる皮質興奮性を自己運動で自己制御できる可能性が示された。また、他施設の協力を得てデータを集積し、さらに解析を進めることができた。(意義・重要性)上記の二つの研究課題いずれにおいても再現性のある結果を確認でき、脳皮質・深部核ネットワークの理解と、それに基づく脳病態の治療についての科学的知につながると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
・二つの研究内容についてデータ蓄積、解析ともに順調に行うことができ、特にフォーカスした解析については期待された結果が得られている。次年度において、学会発表や論文執筆による結果の公開が可能となった状態である。
・①については、学会発表で他研究者と討議を行うとともにその意見も参考にしながら論文執筆を進める。・②においては他施設で行われた過去の後ろ向き症例でのデータ解析を行い、再現性の担保に注力し論文化する。
・研究代表者の臨床業務のため、海外出張が難しくなり、また頑健な解析とするため論文執筆の開始が遅れた。次年度他分野との交流のためにも学会に参加して、今後の共同研究のために研究者との交流を含めた基盤作りと論文執筆を引き続き進めていく予定である。
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