研究課題
若手研究
癌組織内でプロテインC凝固制御系の存在を明らかにする目的で研究を行った。癌組織におけるプロテインC凝固制御系に関わる因子であるトロンボモジュリンの存在を明らかにするため、培養マウス血管内皮細胞におけるトロンボモジュリンの発現について、トロンビン依存性のプロテインC活性化能を指標として検討した結果、プロテインCの活性化が認められたことから、トロンボモジュリンが存在していることが示唆された。
血栓止血学
最近では転移癌における組織因子発現、癌幹細胞でのプロテインC受容体の発現がそれぞれ増殖や転移を促進することが報告され、癌の発生や進行を制御しうる新しい機構として注目を集めている。我々もプロテインCインヒビターが細胞の癌化と癌細胞の増殖・転移を抑制することを示してきた。これまでの研究で明らかにされていない重要な課題が、癌組織内での血液凝固系・制御系反応に関わる分子実態とその病態生理機能であり、本研究は世界ではじめてその課題に取り組む先駆的な研究である。