研究課題
若手研究
慢性下気道感染症患者から採取した気管支肺胞洗浄液に対して肺胞マクロファージのフェノタイプの評価と、貪食能測定をflow cytometryを用いて検討した。対象症例(n=30)は肺NTM症患者群(n=11)と対照群(n=19)の2つのグループに分けて検討を行った。肺NTM症患者群では肺胞マクロファージの貪食能が対照群と比べて有意に低下していた。この研究結果から、肺胞マクロファージの機能不全が他の細菌による持続的な感染に寄与し、MAC肺疾患の進行につながる可能性が示唆された。
呼吸器感染症
本研究で、肺非結核性抗酸菌(NTM)症患者の肺胞マクロファージは一般細菌に対する貪食能が低下していることが初めて明らかになった。今までは肺NTM症に対して、非結核性抗酸菌に対する薬剤での治療が中心であったが、肺NTM症は難治例も多く、非結核性抗酸菌のみならず、一般細菌に対する抗菌薬治療も肺NTM症治療のおいて考慮すべき治療選択の一つとなる可能性が示唆され、肺NTM症の予後改善や合併症予防に寄与する可能性がある。