研究課題/領域番号 |
20K16588
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
仲村 佳彦 福岡大学, 医学部, 講師 (20632201)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / permanent MCAO / transient MCAO / トロンボモジュリン |
研究実績の概要 |
多くの脳梗塞患者の救済にはこれら血流を再開通させる治療法が適応外となる患者への有効な治療法探索が急務である。一方、脳梗塞急性期、亜急性期の病態には炎症が関与する。Thrombomodulin(TM)は炎症惹起物質High-Mobility Group Box(HMGB)1を吸着・分解し、抗炎症作用を示す。申請者は血流を再開通させる脳梗塞モデルを用い、recombinant human soluble(rhs)TM製剤が脳梗塞に起因する血漿中HMGB1量増加を抑制し、超急性期のみならず亜急性期からの治療開始によって脳梗塞の病態が改善することを報告してきた。今回は、脳血流再開通あるいは非再開通時の脳梗塞モデルにおける脳内・血漿中HMGB1値の推移を基礎及び臨床研究にて解明し、rhsTMの脳保護効果を脳血流非再開通脳梗塞モデルで検証する。 1年目に得られた成果はpermanent-middle cerebral artery occlusion(p-MCAO)モデルマウスの運動障害スコアはt-MCAOマウスと同等であることが判明した。また、p-MCAOの脳サンプル収集が完了し、transient(t)-MCAOモデルマウスの脳サンプルを収集中である。また、ブラインド、ランダム下にrhsTM投与群と生食投与群の神経スコア、脳梗塞体積を評価中である。臨床研究においては福岡大学病院救命救急センターに脳梗塞の診断で入院となった患者を対象に後ろ向き観察研究を実施する、に関しては福岡大学医学部の医に関する倫理委員会の承認を取得し、研究を開始している。患者情報収集用のデータベースの整備、サンプルの整理を行っている。データベース、サンプル整理が完了次第、HMGB-1の測定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が所属する施設は福岡県の重症新型コロナ感染症(COVID-19)診療の重点医療機関であるため、2021年はCOVID-19第4-6波、さらにCOVID-19による入院ベットを救急医療機関が確保困難となり、一般救急医療も逼迫した状態が続いた。さらに、医療スタッフの感染および濃厚接触者も発生し、休養せざる得ない方も発生したため、これまでにない予想し得なかった診療業務増大となり、実験が行えない時期が存在したため、研究の遂行が予定よりも若干遅れている。また、一部実験機器の不具合も発生し、研究遂行に必要な機器の更新を要した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の基礎実験においてはp-MCAOモデルマウスのrhsTM投与群と生食投与群の2群間にいては、脳梗塞体積に有意な差を認めなことが明らかとなった。 2022年度はt-MCAOでrhsTMの効果を再現性があるかを再検証し、p-MCAOで効果を認めない原因を検索する。具体的には2つのモデルにおける脳内rhsTMの分布を免疫染色を用いて評価する。また、血中HMGB1、サイトカインの抑制作用の違いをELISA法を用いて評価する。 臨床研究においては一部の検体は2021年にサイトカインの測定を終えており、引き続きサイトカインの測定および脳梗塞患者血清HMGB-1の測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、診療業務過多のため、実験進行が遅れたため。
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