研究課題/領域番号 |
20K16600
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小河 浩太郎 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (80870500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多発性硬化症 / メンデルランダム化解析 / ゲノムワイド関連解析 |
研究実績の概要 |
東アジア人の遺伝子多型を含んだSNPマイクロアレイを用いたジェノタイピングを実施した。早期にジェノタイピングを実施した多発性硬化症76検体とコントロール群349検体のジェノタイピングデータを用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。Minimac3を用いたSNP imputationの実施後 quality checkを行い最終的に多発性硬化症75検体、コントロール327検体を解析に使用した。SNP imputationを実施することで約900万SNPの疾患との関連を解析することができた。MHC領域にゲノムワイド水準を満たす関連領域を認め、既報と一致した結果であった。MHC領域以外には有意な関連を示す領域を認めなかった。研究協力施設からのDNA供与を受け、多発性硬化症136検体でのGWAS解析を現在実施中である。 多発性硬化症との鑑別を要する疾患として知られている視神経脊髄炎を比較対象群に加えることで、両者の発症要因の違いについての知見が得られる可能性があると考え、視神経脊髄炎78検体のDNAを収集した。視神経脊髄炎サンプルについても多発性硬化症で用いたものと同じSNPマイクロアレイでのジェノタイピングを実施している。このうち早期にジェノタイピングを行った41検体とコントロール群327検体を用いたGWASを実施した。ゲノムワイド水準を満たす関連領域は得られなかったが、MHC領域で最も強い関連を認めた。視神経脊髄炎についても追加サンプルを含めたGWASを実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メンデルランダム化解析の実施に必要な多発性硬化症のGWASを初年度に実施できており、概ね当初の計画通り推移している。健常群については既に349名のジェノタイピングが実施済みで当初の予定通りの規模で解析が実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
多発性硬化症についてのGWASを実施したが、メンデルランダム化解析の検出力を高めるにはサンプルサイズの拡大が必要である。これまで研究に参加していなかった多発性硬化症の治療を行っている施設の研究参加を得ることでGWASの規模を拡大した上で、メンデルランダム化解析を実施する。また、多発性硬化症の比較対象群として視神経脊髄炎を解析対象とし両疾患の発症に関連する要因の違いの同定に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
SNPジェノタイピングについては共同研究施設でのDNA収集に時間を要したため2021年度に多くのサンプルの解析を実施する方針とした。また既に購入済みのSNPマイクロアレイを有していたため、そちらを用いたため追加で購入を行う必要がなかった。次年度使用額については多発性硬化症サンプル、コントロールサンプルのジェノタイピング費用に充てる予定である。
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