研究課題/領域番号 |
20K16600
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小河 浩太郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (80870500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多発性硬化症 / メンデルランダム化解析 / ゲノムワイド関連解析 |
研究実績の概要 |
Japan MS/NMOSD Biobankの協力を得て、2020年度までのSNPタイピング実施分と合わせて、多発性硬化症585例のSNPタイピングデータを作成した。健常対象者群として大阪大学遺伝統計学の協力を得て日本人45520名のSNPタイピングデータをコントロールとしてGWAS解析を実施した。コントロール群はMHC領域に関連を有さない疾患、健常者とした。SNPタイピングはイルミナ社のAsian Screening Arrayを用いた。SNPタイピングデータのQC後、1000人ゲノムプロジェクト(1KGp3v5)及びバイオバンクジャパンWGSリファレンスパネル(計3541名の全ゲノムシークエンスデータ)を参照配列として、SHAPEIT4、Minimac4を用いてSNP imputationを実施した。SNP imputation後上位10PCと性別情報を共変量として、多発性硬化症群とコントロール群でのCase Control解析を実施した。PLINK2での解析では多発性硬化症群でMHC領域にゲノムワイド水準を満たす関連領域を認めた。その他の領域については有意な関連を認めなかった。Case Control比による解析結果への影響を考慮した解析が可能なSAIGEでもGWAS解析を実施した。PLINK2と同様MHC領域にゲノムワイド水準を満たす関連を認めるもののその他の領域では有意な関連を認めなかった。2021年度作成したGWAS解析結果を用いて2022年度にメンデルランダム化解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メンデルランダム化解析における検出力を高めるために多発性硬化症のサンプル数の増加が必要であったため、Japan MS/NMOSD Biobankの協力を得ることで多発性硬化症のサンプル数を585例まで増加することができた。当初の予定よりも多数のサンプルのSNPタイピングを実施することとなったが、COVID流行のため外注でのSNPタイピングの実施に時間を要した。SNPタイピング結果を用いたGWASの実施が2021年度末となった。GWAS解析は順調に推移し、2021年度末までに実施できたため、2022年度上旬にはメンデルランダム化解析の実施が可能な状況になっておる。このため概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
日本人多発性硬化症のGWAS結果と、既報の日本人形質GWAS,生活習慣GWAS結果を用いたメンデルランダム化解析を実施する。メンデルランダム化解析の実施に当たっては日本人形質、生活習慣GWASにおいてゲノムワイド水準を満たす関連領域のtag SNPを用いて実施する。メンデルランダム化解析に使用する手法としては、inverse variance method, weighted median法, MR egger methodでの結果を比較検討し、解析手法による影響を排除する。欧米人で既報のない形質での関連が示唆された場合は、欧米人GWASデータを入手し、replicateされるかどうかの検討を行い、多発性硬化症の発症リスクの人種差についての検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID流行によるSNPタイピングの実施に時間を要したため2022年度に計画を延長することとなった。このため次年度使用額が生じている。予算の使用については、ゲノムワイド関連解析データの保管に要する記憶端末の購入費用、研究成果の学会発表に要する旅費、研究成果の論文投稿料を予定している。
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