研究課題/領域番号 |
20K16676
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
岡安 寛明 獨協医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80459619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心拍変動 / Deceleration capacity / 心臓死 / 統合失調症 / 気分障害 / QT間隔 / 抗精神病薬 / 抗うつ薬 |
研究実績の概要 |
抗精神病薬を内服している統合失調症患者138名の心拍変動における減速能(Deceleration capacity :DC)を測定し、内服内容とQT間隔との関連を解析し、得られた結果を報告した論文(Effect of antipsychotic use by patients with schizophrenia on deceleration capacity and its relation to the corrected QT interval. General Hospital Psychiatry. 2023)が第33回日本臨床精神神経薬理学会において2023年度ポール・ヤンセン賞を受賞し、同学会学術集会にて受賞講演を行った。 気分障害患者102名(男性45名、平均年齢53.8±16.2)に対して、統合失調症患者と同様に心拍センサ(my Beat ウェアラブル心拍センサ/WHS-1:ユニオンツール株式会社)とRRI Analyzer(同社)を用いてDCを計測した。得られた結果と患者の年齢、性別、Body Mass Index、QT間隔、内服内容との関連を検討した。年齢、抗うつ薬の投与が用量依存性にDCを減少することが示され、個々の抗うつ薬では、クロミプラミンとアミトリプチリンが用量依存性にDCを減少させることが確認された。これまで致死的不整脈の予測因子として用いられていたQT間隔とは関連を認めないことから、DCはQT間隔とは独立した因子として気分障害患者の抗うつ薬による心機能への影響を評価できる可能性を見出した。また、健常者からも同様の手法でDCを測定し、年齢、性別を調整した気分障害患者86名と健常者86名でDCを比較検討し、抗うつ薬等内服中の気分障害患者は心機能の予備能が低下しやすいことが示された。現在、これらの結果をまとめて英語論文として執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統合失調症患者のDeceleration capacity (DC)に関する研究は英語論文として報告することができ、現在は100名以上の気分障害患者から、同様にDCを測定して、抗うつ薬や心電図QT間隔との関連を検討し、また、気分障害患者のDCと比較検討するため、80名以上の健常者からもDCを測定しており、データ収集や結果の解析までは順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
気分障害患者とDeceleration capacity (DC)との関連について得られた結果を英語論文にまとめ、評価の高い英語論文雑誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの収集は概ね進捗通りであったが、結果を英語論文として作成中であり、作成した英語論文の英文校正費や論文掲載費を使用しないままであったため、次年度、論文作成した際の英文校正費や論文掲載費として使用していく予定である。
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