研究課題/領域番号 |
20K16797
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
相部 則博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50739240)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 体表運動監視による呼吸位相情報 / 体内マーカーの3次元座標監視による3次元位置情報 / 4次元解析システム構築 / 高精細放射線治療 |
研究実績の概要 |
本研究は、現在の高精細放射線治療の抱える課題を克服すべく、マーカーレス化や被曝低減化の実現を目指して、体表運動監視による呼吸位相情報と体内マーカーの3次元座標監視による3次元位置情報を用いた4次元解析システムを構築(標的の3次元位置座標、時間、呼吸位相を統合して解析できるシステムの構築)することである。 本年は、解析システムを構築するための機材の整備やケーブルの設置などを行い、ハード面では4次元解析システム構築を進められる土台を整えた。体表運動監視による呼吸位相情報を取得するシステムとしては、赤外線レーザーによる体表監視法を採用し、体内マーカーの3次元座標監視による3次元位置情報の取得には当施設に設置されている日立製陽子線治療装置の動体追跡技術を採用した。 現時点では、人体における情報取得を行う前に、動体ファントムを用いたデータ収集を開始している段階である。動体ファントムを用いた複数の動体の動きを両監視システムにより監視し、位相情報と3次元位置情報を取得し、両システムから各データを取得できることを確認するとともに、取得したデータを整理し、統合的に解析できる手順を検討している。統合解析の手順が定まれば、簡便にデータ統合ができるようなシステムを開発することを目指している。 患者さん(人体)から実際にデータを取得するにあたっては、倫理審査委員会の承認を得たプロトコールに基づき実施できるよう準備を進めている段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染蔓延の時期であったため、物品の調整やケーブルの配備に時間を要した。また、学会の参加や他機関への研修といった情報収集の機会を適切に設けることが困難であった。しかし、解析システムを構築するための機材やケーブルの設置などを2021年3月まえには行い、ハード面ではシステム構築を勧められる土台を整えた。また、動体ファントムを用いて、両監視システムからデータを取得できることを確認し、取得したデータの統合解析手順の検討を模索できる段階となった。統合解析の手順が定まれば、簡便にデータ統合ができるようなシステムを開発することを目指している。また、患者さん(人体)から実際にデータを取得するに当たっては、倫理審査委員会の承認を得たプロトコールに基づき実施できるよう準備を進めている段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
動体ファントムを用いて得られた両監視システムからのデータを効率よく統合できる手順を見出し、データ統合システムを構築する。構築したデータ統合システムを用いて、動体ファントムを用いて得られる様々な動きにおけるサンプルデータを利用して、統合システムの操作性を検証する。同時に、患者さん(人体)からの実際のデータを取得できるよう、倫理審査委員会の承認を得た適切なプロトコールを作成し、承認されたプロトコールに従って、患者さんの実データを用いた4次元統合解析を実施していく。解析データを蓄積し、病変部位毎(肺、肝臓、膵臓といった後腹膜臓器など)にマーカーレス化が可能な部位がないかの検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染蔓延の影響により国内での研究に係る情報収集事業が実施困難であったため、国内旅費の費用が発生しなかったため、次年度使用額が発生した。翌年分の助成金と合わせて、研究内容の充実を図るための必要な設備投資や対外交流のための旅費資金として使用する。
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