研究課題
若手研究
放射線腸管障害は放射線療法および被ばく事故の観点から、早急に解決すべき重要課題である。本研究では、体外で培養した腸管オルガノイドや、腸管を構成する各種細胞を投与することで放射線腸管障害部位を再構築できるか検討する。腸管オルガノイド由来の細胞塊を放射線腸管障害モデルマウスに投与すると、短時間の生着は観察されるものの腸管構造の再建は認められなかった。一方で、ヒト由来の間葉系間質細胞の一部が放射線腸管障害部位に生着し、放射線腸管障害に対して一定の治療効果を発揮することが分かった。
放射線障害治療
腸管オルガノイド移植による放射線腸管障害治療を確立するためには、移植したオルガノイド片の生着時間および生着率を改善するために、足場材料の同定・開発が必要であると考えられた。一方で、クリプト周辺の間葉系間質細胞が腸幹細胞をはじめとした腸管構成細胞群の恒常性維持・再生促進に寄与することが知られている。今回、間葉系間質細胞の一部の細胞群が放射線腸管障害に対して高い治療効果を有していることが分かり、この結果は新たな治療法開発につながると期待される。