研究課題
本研究の目的は脳腫瘍に対して高線量をピンポイントで照射する定位放射線治療において、腫瘍制御率を保証するために必要とされる照射位置精度を腫瘍の種類やサイズ毎に評価し、これらの照射位置精度を実際の治療前に、従来法よりも簡便かつ超高精度に検証する方法を開発することである。2021年度は2020年度に検討した「脳腫瘍に対する照射位置誤差が腫瘍制御率及び正常脳の脳壊死へ与える影響」について、脳腫瘍の中でも転移性脳腫瘍に焦点を当てた検討結果を報告した。(American Association of Physicists in Medicine 63rd Annual Meeting and Exhibition 2021)また、転移性脳腫瘍の多様性を考慮した放射線生物学的パラメータの違いが与える影響に関する検討を追加し、解析結果を報告した。(Radiological Physics and Technology 2022)2020年度に構築した、「定位放射線治療装置であるCyberKnifeから出力されるログファイルデータを用いた照射位置精度解析の一連の手順」に関しては、臨床データを対象とした一連の解析フローをプログラム化した。また、臨床データを使用して照射位置精度の検証結果に影響を与える放射線治療計画パラメータ(放射線を照射する絞りの大きさ、照射するビームの本数、照射する放射線量など)について評価を行なった。
2: おおむね順調に進展している
研究計画調書に沿って研究開発を進めており、「頭部定位放射線治療における腫瘍制御率を保証するために必要な照射位置精度」の検討結果の報告、「ログファイルデータを用いた照射位置精度の解析方法のプログラム化」は概ね達成できたと考えられる。従って現在までの進捗状況区分は、「おおむね順調に進展している」と評価した。
2022年度は以下の通り研究を推進する予定である。ログファイルデータを用いた照射位置精度検証法の正確性の検討照射位置精度に影響を与える放射線治療計画パラメータの追加検討照射位置精度を反映した患者体内線量を推定するシステムの構築
新型コロナウイルス蔓延の影響で当初現地参加予定であった学会がWeb開催となり、旅費の支出を抑えられたため。次年度使用額については、主に学会参加費、研究解析および英語論文を執筆するために必要な書籍やソフトウェアの購入、また英語論文に係る校正費および掲載費等に充てる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Radiological Physics and Technology
巻: - ページ: -
10.1007/s12194-022-00655-5
Journal of Applied Clinical Medical Physics
巻: 22 ページ: 266~275
10.1002/acm2.13322