研究課題
若手研究
本研究課題ではがん転移の要因となる放射線誘発性の細胞運動に関する細胞極性や小胞体ストレスといった細胞内反応にLINC複合体構成因子SUN1が関係しているか否かを検討した。その結果、SUN1が先導端におけるX線誘発性の細胞極性に必要であること、またX線によって引き起こされる小胞体ストレス応答に必要であることが明らかとなった。さらにSUN1を詳細に解析すると、特にSUN1_888がそれらの反応に必要とされることが明らかとなった。
放射線生物学
放射線治療においてX線治療は広く利用され、良好な局所制御が可能になっている。しかしながら、X線照射によりがん転移に関連する細胞運動が亢進する現象はよく知られており、近年ではX線治療によりがん転移が誘発される可能性も報告されている。本研究課題においてLINC複合体が細胞運動に対して果たす機能の解明に取り組んだ。LINC複合体の詳細な機能を明らかにすることで、LINC複合体を利用したがん転移抑制を組み入れた放射線治療法の開発やがん転移リスク評価法の確立等が期待される。