本研究では、心理的ストレスを継続的に受けた父親マウスに由来する次世代仔マウスでみられた情動行動異常(不安・うつ様行動、嫌悪刺激に対する極端な回避行動、社会性行動の低下)が、どのような作用機序に基づき惹起されているかを調べた。研究成果より、心理的ストレス負荷期間においてグルココルチコイド受容体拮抗剤を投与することで、次世代仔マウスの情動行動異常を回避できた。一方で、グルココルチコイド受容体作動薬を投与することで、心理的ストレスに由来した次世代マウスと同様な情動行動異常がみられた。これらの成果は、次世代の情動行動機能の構築が父親側のグルココルチコイド系の影響を受ける可能性を示唆している。
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