研究課題/領域番号 |
20K16874
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
酒井 愛子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター ゲノム医科学プロジェクト, 研究員 (40592184)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワクチン反応性 / 個人差 / 遺伝要因 / HLA / B型肝炎 / 麻疹 / 風疹 |
研究実績の概要 |
日本では麻疹は輸入例を起点に、風疹は中年男性を中心に流行が広がっており、緊急の対策が求められている。特に、発症者のうちワクチン接種歴がある人も9~15%で報告されており、ワクチン接種にもかかわらず、反応が悪いvaccine failureが一定数存在することが示唆されている。これまでの研究で、B型肝炎ワクチンの個人差の要因として、年齢や性別のほか、Class II HLAを中心とした遺伝子多型が関連することを明らかにした。Class II HLAの遺伝子多型は、ワクチン抗原との親和性やHLAの発現量等、HLAを介した抗原提示能に影響することで、ワクチン反応性の個人差に関わることが想定される。さらにこれらの遺伝子多型が、ワクチンにより獲得された抗体価の維持とも関連することを明らかにした。
本研究では、麻疹風疹ワクチンの反応性の個人差を規定する要因を明らかにするために、網羅的な遺伝子関連解析を行い、先行研究と同様の手法でHLAについてタンパク構造解析を行う。初年度はすでに収集した検体・新規の検体について、研究倫理面、検体の調整を行い、B型肝炎ワクチン反応性や効果についての解析結果を論文や学会で報告した。その後、先行する研究を通して、GWASの解析技術や発展性について多くを学ぶ機会を得た。これらを用いて本研究の解析を進め、さらにB型肝炎ワクチンの反応性と共通する因子、非共通の因子を同定することで、広くワクチン免疫についての知見を深め、よりよいワクチン開発・使用戦略に貢献する。本年度は564検体のGWASの実施・解析に加えて、ワクチンに対する免疫応答におけるサイトカイン・ケモカインの動態の個人差についてもあわせて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスについての研究の影響で、本研究の進捗が遅れた。一方で、新型コロナウイルス感染症およびワクチンについての研究により、ワクチン効果(感染、発症、重症化に対する効果)と抗体価、細胞性免疫、またこれらの個人差に関わる免疫応答の機序等についての知見を深めることができた。今後、これらの観点も含めて本研究の解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定したとおり、GWAS解析を進行中である。病原体に特異的な遺伝要因と、病原体によらず共通する遺伝要因を明らかにし、報告する。また、新型コロナウイルス研究から得られた免疫応答の個人差についての知見を取り入れた解析も実施中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、本研究に遅れが生じたため。期間延長して、予定通りの計画・目的に使用する。
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