本研究で開発した生体内および障害血管のモデル流路における血栓形成の評価方法は種々の血栓性あるいは止血異常病態の基礎的研究に応用が可能である。 溶血性尿毒症症候群は血小板を主体とした血栓が形成される疾患であることが知られているが、本研究ではその初期に凝固によるフィブリン形成が起きている可能性が示唆された。本疾患においてどのように血栓が形成されるかを明らかとすることができれば新たな治療標的を見出すことが可能となり、患者予後改善につながる可能性がある。赤血球による血栓制御機構は溶血性尿毒症症候群の血栓形成と溶血病態だけでなく、多血症での血栓傾向など他の疾患の解析・治療法開発にも応用できる可能性がある。
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