研究課題
我々はヒト肝星細胞を用いたこれまでの基礎的研究から、老化肝星細胞から分泌される因子としてInterleukin-8(IL-8)、Angiopoietin-like 4(ANGPTL4)、Platelet Factor 4 Variant 1(PF4V1)を特定し、これらを「老化3因子」と命名した。この老化3因子が肝微小環境に与える影響を調べることで、肝星細胞の細胞老化とその生理的影響の解明を目指すことを目的としている。まず、老化3因子の発現系の構築に着手した。先行してPF4V1発現プラスミドが構築され、ヒト胎児腎細胞293(HEK293)細胞に導入すると細胞内・メディウム中ともにPF4V1の発現が確認された。
4: 遅れている
本年度は世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で物品調達や実験スケジュールに大きな狂いが生じ、実験が進まない状態が続いた。また、PF4V1の発現系構築にも時間を要した。
1)PF4V1の機能解析構築したPF4V1の発現系を用い、肝細胞(HepG2、HuH-7、マウス肝細胞など)、肝星細胞(HHSteC、LX-2、マウス肝星細胞)、内皮細胞(HUVEC)などにおけるPF4V1の機能解析を行う。2)ANGPTL4の機能解析ANGPTL4についても発現系の構築を目指し、PF4V1と同様に機能解析を行う。3)in vivoにおける検証ヌードマウスを用い、老化ヒト肝星細胞と肝癌細胞との共培養を行うことで肝癌細胞増殖に与える影響を確認し、老化肝星細胞の肝癌進展への作用を調べる。
本年度は世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で物品調達や実験スケジュールに大きな狂いが生じ、実験が進まない状態が続いた。PF4V1の機能解析を進めるとともに、ANGPTL4の発現系構築方法を再検討し、機能解析につなげたいと考える。
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