研究課題
切除不能肝細胞癌に対する第一選択の化学療法としてアテゾリズマブ+ベバシズマブ(AtzBev)治療が行われているが、その治療効果や予後予測に関連するバイオマーカーは確立されていない。今回、我々は分泌因子であるGlypican-3(GPC3)に着目し、AtzBev導入例の血中GPC3濃度と治療効果や予後との関連につき解析した。2020年12月から2022年8月にかけて、当科においてアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法(Atezo+Bev)を導入した切除不能肝細胞癌33例を対象とし、AtzBev開始前の血清中GPC3濃度を測定し、GPC3とAtzBevの最良治療効果、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)との関連について解析した。AtzBevによって病勢制御(CR/PR/SD)が得られなかった群(n=8)では、得られた群(n=25)と比較してGPC3が有意に高かった(37.9 vs 9.9 ng/mL, p=0.007)。そこでGPC3をその中央値(10.8 ng/mL)をカットオフとして高値群と低値群に群別したところ、GPC3高値群は低値群に比較してPFS(3.0 vs 11.7ヶ月, p=0.016)、OS(17.6 vs 22.1ヶ月, p=0.046)とも有意に短かった。GPC3はAtzBevの病勢制御率、PFS、OSと関連しており、治療効果や予後予測に有用な新規バイオマーカーとなる可能性が見出された。
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