本研究の目的は、リンパ管発生における新規リンパ管内皮細胞起源を提唱する事である。これまでリンパ管内皮のほとんど全てが静脈内皮細胞の分化転換により生じると考えられてきたが、我々は、心臓において一部のリンパ管内皮細胞が心臓を形成する中胚葉領域に由来する事を示した。本年度は、これらの知見を元に遺伝子組換えマウスを用いて我々の同定した二次心臓予定領域に由来するリンパ管内皮細胞の胚における分布範囲や鳥類胚を用いて相補的な実験を行った。その結果1)既知の報告とは異なるリンパ管内皮細胞の由来、発生過程、2)鳥類胚・哺乳類胚における共通したリンパ管発生に関する知見が得られた。これらの結果はリンパ管の発生・進化過程を解明するのみならず、リンパ管疾患の病態解明、治療法開発への基盤となり得る。これらの結果を元に次年度以降も研究を発展させていく予定である。さらに論文化も同時平行で進める予定である。
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