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2021 年度 実施状況報告書

臓器特異的リンパ管発生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K17072
研究機関三重大学

研究代表者

丸山 和晃  三重大学, 医学系研究科, 学内講師 (90821984)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードリンパ管 / 心臓発生 / リンパ管奇形 / 脈管奇形
研究実績の概要

我々は、心臓リンパ管に独自の細胞起源(Maruyama et al., 2019)や発生を調節するシグナル(Maruyama et al, 2021)があることを発表した。しかしながらなぜ心臓に独自のリンパ管発生様式があるのか、その生物学的な意義は不明瞭であった。本研究では、これまでの実績を発展させ、さまざまな遺伝子改変マウスを用いて、リンパ管内皮細胞の細胞系譜を詳細に解析した。その結果、我々が心臓リンパ管として発見したリンパ管内皮細胞の起源は頭頸部領域と心臓領域に共通のリンパ管内皮細胞の起源である事が明らかとなった。こうした細胞領域は心臓や頭頸部領域の筋組織の前駆細胞であるcardio pharyngeal mesoderm(CPM)であり、リンパ管が頭頸部の筋肉系前駆細胞と共通の起源を持つことを明らかにした。CPM由来のリンパ管はこれまで知られていたリンパ管内皮細胞の発生様式とは解剖学的にも時空間的にも異なる独自の発生様式を経ており、こうした所見は新たなリンパ管の発生調節様式が存在する事を示唆する。
また、魚類では心臓、頭頸部のリンパ管が体部のリンパ管とは異なる発生様式をとる事が知られていたが、本研究により進化上保存された発生様式の一端を解明した。
さらにヒト難治性疾患であるリンパ管奇形は頭頸部、縦隔領域に好発する事が知られていたが、本研究によりリンパ管奇形の解剖学的好発部位の説明がつくようになった。本研究はこれまで静脈の分化転換のみにより形成されると考えられてきたリンパ管の新たな発生様式を明らかにし、さらに進化上保存されたリンパ管の発生様式やリンパ管疾患の病態解明へとつながる重要な研究である。また本研究は、リンパ管発生を制御する新たな分子シグナルの発見や治療薬開発の基盤となる重要な研究となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

現在論文投稿中であるため。目標とした成果を年度内に達成できうると判断したため。

今後の研究の推進方策

リンパ管奇形ではある種の遺伝子の活性型体細胞変異が頻発する事が知られている。我々は頭頸部、縦隔のリンパ管が進化上保存された独自の発生様式により形成される事を明らかにした。この細胞群でヒトリンパ管奇形の原因となるタンパク質を特定の時期に過剰発現させる事でヒトリンパ管奇形の病態がマウスで再現されるのかどうかを今後詳細に明らかにする。さらにこうしたリンパ管で異常をきたす分子シグナルを一細胞レベルの遺伝子解析で解析し、リンパ管奇形に対する新たな分子標的薬を同定する事を今後の推進方策とする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] The Pathogenesis of Cardiac Fibrosis: A Review of Recent Progress2022

    • 著者名/発表者名
      Maruyama Kazuaki、Imanaka-Yoshida Kyoko
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 2617~2617

    • DOI

      10.3390/ijms23052617

  • [雑誌論文] Surgical protocol for permanent ligation of the left anterior descending coronary artery in mice to generate a model of myocardial infarction2021

    • 著者名/発表者名
      Maruyama Kazuaki、Naemura Kazuaki、Yoshihara Kenji、Imanaka-Yoshida Kyoko、Kurihara Hiroki、Miyagawa-Tomita Sachiko
    • 雑誌名

      STAR Protocols

      巻: 2 ページ: 100775~100775

    • DOI

      10.1016/j.xpro.2021.100775

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Semaphorin3E-PlexinD1 signaling in coronary artery and lymphatic vessel development with clinical implications in myocardial recovery2021

    • 著者名/発表者名
      Maruyama Kazuaki、Naemura Kazuaki、Arima Yuichiro、Uchijima Yasunobu、Nagao Hiroaki、Yoshihara Kenji、Singh Manvendra K.、Uemura Akiyoshi、Matsuzaki Fumio、Yoshida Yutaka、Kurihara Yukiko、Miyagawa-Tomita Sachiko、Kurihara Hiroki
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 24 ページ: 102305~102305

    • DOI

      10.1016/j.isci.2021.102305

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 鳥居 壮多, 丸山 和晃, 小林 裕子, 白水 崇, 今中-吉田 恭子2022

    • 著者名/発表者名
      オミクス解析を用いたSema3E-PlxnD1シグナル下流因子の探索
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会
  • [学会発表] 免疫チェックポイント阻害薬心筋炎モデルマウスの作成2022

    • 著者名/発表者名
      原 慈, 俵 功, 丸山 和晃, 今市 将太, 今中-吉田 恭子
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会
  • [学会発表] 心筋梗塞後のリンパ管新生の特徴-時相と分布に着目して2022

    • 著者名/発表者名
      松井 健汰, 丸山 和晃, 今中-吉田 恭子
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会
  • [学会発表] 新規リンパ管内皮細胞起源の同定2022

    • 著者名/発表者名
      丸山 和晃、今中 恭子、栗原 裕基
    • 学会等名
      第7回血管生物若手研究会
  • [学会発表] 新規リンパ管内皮細胞起源の同定2022

    • 著者名/発表者名
      丸山 和晃、今中 恭子、栗原 裕基
    • 学会等名
      第29回血管生物医学会学術集会
  • [学会発表] 新規リンパ管内皮細胞起源の同定2021

    • 著者名/発表者名
      丸山 和晃、今中 恭子、栗原 裕基
    • 学会等名
      第20回日本心臓発生研究会

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公開日: 2022-12-28  

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