研究課題
本申請の内容である、電気的リモデリングの分子生物学的解析に加えて、シンガポールのDuke-NUS Medical Schoolで研究を行い、Deoxycorticosterone acetate (DOCA) を負荷したマウスを使って、体液・電解質の代謝に影響を与えて、塩分摂取と無関係に生じる体液保持機構活性化を惹起して、血圧の変化をもたらすことを明らかにしている。アルドステロン/ミネラルコルチコイド受容体(MR)系は陸生動物における強力な血圧制御機構であり、MRが活性化することにより、腎尿細管で尿中ナトリウムイオン(Na+)及び水分の再吸収が促進され、体液量が一定に保たれる。この体内Na+増加が「循環血液量」の増加と「高血圧」をもたらすという概念に対し、我々は、“高食塩摂取により様々な臓器が協調して機能し、腎臓のみならず、皮膚・肝臓・骨格筋などの内分泌・代謝連関によって体内の水分バランスが制御され、「末梢血管抵抗」が増加し「血圧が上昇する」”という革新的なコンセプトを提唱し、高血圧の成因研究を進めている。日本高血圧学会 基礎研究推進部会メンバーとして高血圧研究を発展させ、日本高血圧学会 フューチャープラン委員会・ワーキンググループメンバーとしてOnco-Hypertensionという新たな診療・学術領域を展開している。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、我々独自の新たな電解質・体液制御コンセプトに基づいて、MRの作用をカリウムイオン(K+)および水分喪失の観点から高血圧の病態を解明し、第29回国際高血圧学会で発表を行った。
現在本研究で得られた成果は論文投稿中である。引き続き、シンガポールのDuke-NUS Medical Schoolと連携し、態性高血圧成因・アルドステロン/MR系に関わる基礎および臨床研究を継続していく。
コロナウイルス感染の影響により、海外との共同研究の研究計画に変更が生じ、実験に使用する予定であった消耗品類の費用の繰越しが生じた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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