致死的不整脈におけるSCN5A-Nedd4-2系の分子メカニズム解明

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K17124
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 峯岸 慎太郎 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (80458398)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 電解質 / 電気的リモデリング / 心腎連関 / 体液恒常性 / DOCA / アッシング / カリウム

研究実績の概要

本申請の内容である、致死的不整脈におけるSCN5A-Nedd4-2系の分子メカニズムの解明に加えて、Deoxycorticosterone acetate(DOCA)を負荷したマウスの研究を発展させている。これまでの疫学研究からは、食事中の食塩摂取量と高血圧症との強い相関関係は明らかであり、治療抵抗性高血圧症は過度のナトリウム貯留によって引き起こされている可能性が報告されているが、その機序に関する知見は断片的で体系化されていなかった。一方、最近の「食塩」に関する研究によって、腎臓だけでなく、皮膚においてもナトリウム・体液調節機構が存在することが明らかとなっている。
従来の腎臓説に立脚した腎におけるナトリウム排泄障害・細胞外液量増加が「循環血液量」の増加と「高血圧」をもたらすという概念に対し、DOCAを負荷したマウス実験により、体内の水分喪失を防ぐ目的のための多因子生理学的適応として「末梢血管抵抗」の増加と「高血圧」が生じる可能性を示した。こうした体液保持機構の活性化が、「治療抵抗性高血圧症」をもたらしている可能性がある。アルドステロンの分泌は、カリウム排泄を亢進させ、水分喪失をもたらす。
本研究により、「高食塩摂取により様々な臓器が協調して機能し、腎臓のみならず、皮膚・肝臓・骨格筋などの内分泌・代謝連関によって体内の水分バランスの制御により血圧が上昇する」という、食塩感受性高血圧研究に新境地をもたらす成果を示すことができた。

研究成果

• [雑誌論文] Water Conservation Overrides Osmotic Diuresis During SGLT2 Inhibition in Patients with Heart Failure (2024)
  • 著者名/発表者名: Marton A, Saffari SE, Rauh M, Sun RN, Nagel AM, Linz P, Lim TT, Takase-Minegishi K, Pajarillaga A, Saw S, Morisawa N, Yam WK, Minegishi S, Totman JJ, Teo S, Teo LLY, Ng CT, Kitada K, Wild J, Kovalik JP, Luft FC, Greasley PJ, Chin CWL, Sim DKL, Titze J.
  • 雑誌名: Journal of the American College of Cardiology 巻: 83 ページ: 1386～1398
  • DOI: 10.1016/j.jacc.2024.02.020
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Impact of Hypertension in Cancer Patients Treated With Anti-Vascular Endothelial Growth Factor Therapy (2024)
  • 著者名/発表者名: Minegishi Shintaro
  • 雑誌名: Circulation Journal 巻: 88 ページ: 226～227
  • DOI: 10.1253/circj.CJ-22-0825
  • 査読あり
• [雑誌論文] Future Prospects of Onco-Hypertension (2023)
  • 著者名/発表者名: Minegishi Shintaro、Nishiyama Akira、Yano Yuichiro、Node Koichi、Kidoguchi Satoshi、Sugano Naoki、Kaneko Hidehiro、Ono Yoshikiyo、Nozato Yoichi、Hoshide Satoshi、Nishimura Kunihiro、Mukai Mikio、Node Koichi、Yano Yuichiro、Nishiyama Akira
  • 雑誌名: Hypertension 巻: 80 ページ: 123～124
  • DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.123.21011
  • 査読あり
• [雑誌論文] Cardiotoxicity Associated with Immune Checkpoint Inhibitors (2023)
  • 著者名/発表者名: Minegishi Shintaro、Horita Nobuyuki、Ishigami Tomoaki、Hibi Kiyoshi
  • 雑誌名: Cancers 巻: 15 ページ: 5487～5487
  • DOI: 10.3390/cancers15225487
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Use of calcium channel blockers does not increase breast cancer risk: findings from a nationwide population-based cohort study in Taiwan (2023)
  • 著者名/発表者名: Minegishi Shintaro
  • 雑誌名: Hypertension Research 巻: 46 ページ: 2312～2314
  • DOI: 10.1038/s41440-023-01382-z
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mfsd2a-mediated lysolipid transport is important for renal recovery after acute kidney injury (2023)
  • 著者名/発表者名: Loke Randy Y.J.、Chin Cheen Fei、Liang Gao、Wong Bernice H.、Galam Dwight L.A.、Tan Bryan C.、Chua Geok-Lin、Minegishi Shintaro、Morisawa Norihiko、Sidorov Iulia、Heijs Bram、Titze Jens、Wenk Markus R.、Torta Federico、Silver David L.
  • 雑誌名: Journal of Lipid Research 巻: 64 ページ: 100416～100416
  • DOI: 10.1016/j.jlr.2023.100416
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 先天性横隔膜ヘルニア術後の若年女性に発症した肺高血圧症の1例 (2023)
  • 著者名/発表者名: 相澤 広太郎, 日比 潔, 石上 友章, 岩橋 徳明, 小西 正昭, 細田 順也, 川浦 範之, 小村 直弘, 峯岸 慎太郎, 鈴木 徹
  • 学会等名: 第689回日本内科学会関東地方会
• [学会発表] 新規血管指標APIは、冠動脈硬化症の重症度を可視化する (2023)
  • 著者名/発表者名: 多田 直輝, 垂水 翔, 内田 浩太郎, 菅原 拓哉, 陳 琳, 川浦 範之, 峯岸 慎太郎, 木野 旅人, 荒川 健太郎, 石上 友章, 日比 潔
  • 学会等名: 第45回日本高血圧学会総会
• [学会発表] がん患者における血圧管理 (2023)
  • 著者名/発表者名: 峯岸慎太郎
  • 学会等名: 第45回日本高血圧学会総会
  • 招待講演