糖尿病性心筋症進展のメカニズムとして、微量の食餌由来酸化ステロールが長期間吸収されることで、心筋組織に影響を及ぼすとの仮説をもとに本研究を開始した。酸化ステロール添加食・非添加食を作成し、糖尿病モデルマウスに食餌させたところ、心組織重量や心機能に有意な変化を認めなかったが、一方で酸化ステロール投与群で肝機能が障害されていることを新たに見出した。血清ALT値の上昇、肝組織における脂肪滴の蓄積、炎症細胞浸潤を認め、さらにβ酸化関連蛋白やオートファジー関連蛋白の発現が低下していることを見出した。本研究により少量の食餌由来酸化ステロールが脂肪肝・肝炎を惹起することとそのメカニズムが明らかとなった。
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